その1では、2024年11月に施行された「フリーランス新法」において、一人親方やフリーランスの方々へ発注する際の契約ルール(支払期日や買いたたきの禁止)について解説いたしました。

  しかし、大切な外部の応援団(パートナー)に仕事を任せる際、契約のルールと同じくらい……いえ、それ以上に「会社を一瞬で傾かせるレベルで危険」なチェックポイントが、もう一つあるのです。

 それが、業務委託に伴う「個人情報保護法違反」と「情報漏洩リスク」です。

 「うちはWeb会社じゃないから個人情報なんて大して持っていないのだけれど」

 「IT企業の話で、うちの現場には関係ないのでは?」

 経営者の皆様には。そう仰らず、ぜひこの問題を我がことと考えて頂きたいのです。この「情報漏洩リスク」思わぬところで、様々な業種の方が関係するのです。たとえば、

  • 建設業 一人親方に現場に入ってもらう際、施主様(お客様)の住所、電話番号、家族構成、間取り図をLINEや紙で渡していませんか?
  • 運送業 委託ドライバーに、配送先のお客様の氏名、住所、連絡先が載った伝票やアプリを共有していませんか?
  • 店舗・EC 外部のスタッフに、顧客名簿やテイクアウトの事前予約データを扱わせていませんか?

 これらはすべて、立派な「個人データの外部委託」にあたります。

 令和4年(2022年)に個人情報保護法が改正され、今や外部委託先におけるトラブルの責任は、委託した「元請け企業(会社、そして経営者様)」に容赦なく跳ね返ってくる時代になっているのです。

1.委託先が漏らしても「元の会社」が罰せられる「監督義務」

個人情報保護法第25条では、外部のフリーランスやパートナー企業に個人データの取り扱いを委託する場合、「発注企業が、委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければならない(安全管理措置・監督義務)」と定めています。

 つまり、

「委託先のフリーランスがうっかりスマホを紛失した」

「協力会社の職人が現場の写真(施主様の個人情報が映り込んだもの)を個人のSNSにアップして炎上した」

といった場合でも、行政や世間から

これは、データを渡していた元請け会社の責任

という形で、残念ながら御社が追及されることになってしまうのです。

 万が一、個人情報の漏洩事故が起きると、現在の法律では「個人情報保護委員会(公的な機関)への速やかな報告」と「被害を受けた本人(お客様)への個別の通知」が義務付けられています。

 公的機関へ時間を置かず報告を行い、何百人、何千人ものお客様にお詫び状を送り、問い合わせなど、様々な対応に追われ、とても仕事どころではありません。

 ましてネットなどで社名が晒されてしまう。それまで積み上げてきた会社の信用はどうなるのでしょうか。

 最悪の場合、事業継続の危機にも追い込まれてしまいます。

金運を招くと言われる祐徳稲荷のイトトンボ


2. 経営者が今すぐ自社の契約書で確認すべき「3つのチェックポイント」

 このような悲劇を防ぐために、外部パートナー(フリーランス・一人親方・委託先)と交わす業務委託契約書の中に、最低限の「3つの安全弁」が入っているか、まず確認されるとよいと思います。そのポイントを説明します。

 渡したデータを「今回の業務以外の目的で使わないこと」「業務終了後は速やかに破棄・返還すること」「スマホやパソコンのパスワード管理等を行うこと」を契約上で明記しているか。

 委託したフリーランスが、会社の許可なく勝手に別の孫請けや知人にデータを再委託することを禁止(または会社の事前書面承認を必須)にしているか。 

 万が一、スマホの紛失やデータの漏洩が疑われる事態が発生した際、「直ちに会社へ報告する義務」を課しているか。報告が遅れるほど、自社の被害とペナルティは倍増します。

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3. まとめ:契約書は「トラブルが起きた時に会社と社員を守る防具」

 これらを委託先のみなさんと契約するなど、なんだか堅苦しいな、という感覚はよく理解できます。

 しかし、法がこのように求めている、これが昨今の経営環境です。

 このようななかで、外部の応援団に気持ちよく働いてもらうためにも、「ここから先は大切な顧客データだから、ルールを守って管理して下さい。」という一線を契約書でクリアにしておくことは、お互いのためでもあります。

 自社の業務委託契約書が「昔の型のまま」になっていたり、顧客情報の取り扱いルールが口頭だけで曖昧になっている場合は、大きな事故が起きる前に一度、自社の「防具(契約書)」を見直してみることを強くお勧めいたします。

  次回(その3)は、こうした法改正や時代のリスクに振り回されず、自社を守りながら事業を伸ばすための「自社で今すぐできる契約書リスク点検5つのチェックリスト」、それからこれも忘れてはならない、実務での運用をどうするか、をお届け致します。

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By AYUGO01

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