All rights are reserved under the copyright of Yasuyuki Ayukawa (2023)
日本の技、日本の品質、日本の味わいを掲げ、グローバル市場に挑戦している企業様を訪ねています。
世界が追い越していったのか、はたまた日本が衰退したのかわかりませんが、昨今、経済・社会・生活の豊かさなど様々な分野で、世界における日本の地位低下が言われています。しかし本当にそうでしょうか?
日本には世界に誇れる技術や伝統、文化があって、多くの企業様の努力によりその価値が各国で認められています。さらに、そうした既存プレーヤーに加えて、新たに自社の商品・技術の世界への発信にチャレンジしている企業様もあるのです。
このシリーズでそのような企業様が、いかにグローバル市場に挑戦されているのか、皆様に紹介したいと思います。
新シリーズとして、
九州佐賀の
皆様の活動、
特に
海外市場に向けた
取り組みを
ご紹介します。
今回ご紹介するのは
九州屈指の温泉地、茶どころの
佐賀、嬉野、
下田製茶舗様です。
(https:/shimodaseichaho.jp)
嬉野は長崎にほど近い、佐賀の西部に位置します。最近、西九州新幹線がオープン、嬉野温泉駅が開業しました!
こちらにお邪魔するときの楽しみの一つに温泉があります。
こちらの温泉は、その昔神功皇后が見つけられたという伝説もあったり、奈良時代の肥前風土記にも登場したりと、大変古くから名の通った温泉です。
肝心の泉質ですが、重曹泉、ナトリウムを多く含むアルカリ泉質で、角質化した皮膚を洗い流す効果もあることもあり、日本三大美肌の湯に数えられます。
確かにアルカリということもあり、入るとお肌によさそうな、ぬるぬる感がすぐ実感できますね。
そしてこちらは、温泉街ということで料理もおいしいところです。長崎に近い佐賀、ということで山あいの町ながら、新鮮な魚も楽しめます。
今回,嬉野温泉街にある料理店「志津」にて、九州ではクロというそうですが、メジナをお造りで頂く機会がありました。
この魚はものによっては磯臭さが気になることもあるようですが、ごらんのように目も身もぴかぴか、あっさりとした白身を楽しむことができました。
そして嬉野の名物料理では、温泉湯豆腐があります。
嬉野温泉のアルカリ泉質の温泉水を利用し、湯豆腐にすると、豆腐がほどよく水に溶けだし、このような独自の色合い、独自のかおりと味わいを楽しめるものになります。
寒い季節だけでなく、夏に頂いても決して暑苦しく感じない、上品な味わいの湯豆腐です。旅館やホテルの朝食のほか、温泉街の料理屋でも楽しめます。
その、嬉野温泉の温泉街の一角で、茶どころの茶商として長年活動されているのが下田製茶舗様、今回は専務、ご当主でいらっしゃる下田浩二様にお話しを伺いました。
下田様はもともと、東京で大手印刷会社の営業マンでいらっしゃったのですが、家業を継がれるべく、こちら嬉野にUターンされたのでした。
下田製茶舗様の扱われているのは、もちろん、地元、佐賀嬉野茶、その製茶、卸がご生業でいらっしゃいます。
嬉野茶は九州のなかでも、蒸し玉緑茶などで有名なお茶のブランドの一つです。
若芽から作った蒸し茶が多く、鮮やかな黄緑色の水色(すいしょく、と読みます。お茶を淹れたときの水(お湯)の色のこと)が特徴の一つです。
この水色の特徴は温暖な気候に加え、新茶の季節の初夏に、茶を栽培する山々にしばしば深い霧が立ち、
芽吹いた直後の茶葉の生育にベストな湿度と温度が与えられるため、と言われています。
本州の生産地では、どちらかと言えば黄色のお茶が実は多いのですが、
嬉野茶の黄緑はとても鮮やかに感じます。
そして、これを60度から70度くらいの比較的低温のお湯を1分から1分半くらい淹れてから頂きますと、甘味、旨味を濃厚に感じます。
PETボトルのお茶に馴れた私たちには、新しい発見(?)、本当においしく感じるお茶です
しかしながらお茶の国内の需要は年々減少しています。
また、今日本ではお茶はPETボトル飲料としてのものが主流で、茶葉を淹れて頂く習慣を持つ人々の数も減り、またそうする機会も限られてきています。
下田製茶舗様のようにブランド茶の茶葉を流通させるという業態では、出荷量は加速度的に減少しています。
このような市場減少のなかの生き残り策として、下田製茶舗様は海外市場に参入すべく、輸出に取り組まれるようになりました。
日本の国内の市場では日本茶はPETボトル飲料が主役となってしまいましたが、
海外では、たとえば欧米など、お茶を頂く文化が残っています。
英国発祥のアフタヌーンティなど、これも彼らの伝統文化の発信として、いわゆるCommonwealth諸国を中心に根強く残っています。
こうしたなか、日本茶でもまだまだ日本茶の市場を確立することができるはず、
そう下田製茶舗様は考えられたのでした。
次回は、このあたりの詳しいお話からしたいと思います。
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