All rights are reserved under the copyright of Yasuyuki Ayukawa (2023)
日本の技、日本の品質、日本の味わいを掲げ、グローバル市場に挑戦している企業様を訪ねています。
世界が追い越していったのか、はたまた日本が衰退したのかわかりませんが、昨今、経済・社会・生活の豊かさなど様々な分野で、世界における日本の地位低下が言われています。しかし本当にそうでしょうか?
日本には世界に誇れる技術や伝統、文化があって、多くの企業様の努力によりその価値が各国で認められています。さらに、そうした既存プレーヤーに加えて、新たに自社の商品・技術の世界への発信にチャレンジしている企業様もあるのです。
このシリーズでそのような企業様が、いかにグローバル市場に挑戦されているのか、皆様に紹介したいと思います。
新シリーズとして、
九州佐賀の
皆様の活動、
特に
海外市場に向けた
取り組みを
ご紹介します。
今回ご紹介するのは、
光武酒造場様です。
(https://www.kinpa.jp)
焼酎でアジア、そしてカクテルベースとして自社の日本酒で、ヨーロッパで市場を築かれた光武酒造店様。海外市場ではどのように営業されているのでしょうか?
光武晋弘様は月3回にも及ぶ海外出張で、どう動かれているのでしょうか?
先程から申しているようにレストランの直接営業もされますが、
それ以外ですと、飲食店での日本酒の会に出席、展示会への参加、
そして特に力を入れているのが、販売店などの現地の方のスタットレーニングです。
光武晋弘様は、海外での日本酒セールスの成功の秘訣は、
如何に非日本語話者に対して、日本酒の味などのニュアンスを正しく伝えられるか、
そうなると現地での営業の日本酒への理解度が非常に重要になるわけです。
たしかに例えば英語でも、日本酒に関する情報は溢れ、リテラシーも非常に高まっているように見えます。
しかし実際にそれらの情報をどこまで理解し、咀嚼しているかというと、
ここがきちんとできているケースは圧倒的に少なく、
もしここがきちんとできていれば、そこでは日本酒がきっちりと売れてゆく、
ということになるのです。
食中酒での推奨がメインではないにしても、やはりフードペアリングも抑えていかなければいけない、
特に日本料理でなく、
現地料理とのペアリング、マリアージュを抑えなければいけないのですが、
やはり日本料理より皆味付けが濃いですから、これは非常にハードルの高い作業になります。
これを光武晋弘様は酒の売り手として自分たちで用意するのではなく、
現地スタッフと一緒に飲み比べ、食べ比べしながら作ってゆくということです。
これもスタッフのトレーニングの一環でしょうか。
何より大事なのは、マリアージュは漠然とでなく、ピンポイントで具体的に、きっぱり伝えるようにしないとお客様には伝わらないということ。
たとえば「肉料理に合います」ではなく、
「鴨の胸肉のグリルに合います」
というように言わないと、
意味がないということです。
そして肝心の、
どんな味の日本酒を売ってゆくべきか、
ということについては、
切れがあり、ある程度余韻を長く楽しめるものというのは
最低限のラインとしてあるものの、
それ以上のことはあまり考えていらっしゃいません。
むしろ大事なのは、
日本酒の味、楽しみ方をどうお客様に正しく伝えるかということにあるのです。
さて、光武酒造場様では、酒造りについても、新しい方法にチャレンジされています。
日本酒市場の縮小のなかで、光武酒造場様は3酒蔵に対し資本参加、
それぞれの特徴ある酒造りのノウハウを活かしつつ、あらたな商品開発をすすめています。
先程申しましたように焼酎の得意な酒造場、また手仕込みの酒造場を買収しましたが、
光武酒造場様本体は逆にオートメーションを進められています。
焼酎「魔界への誘い」は光武酒造場本社を含めた3社で製造。
また「手造り」シリーズの日本酒は手仕込みの酒造場で製造と、
酒造場を使い分けしています。
またいろいろな酒造りのノウハウをクロスオーバーさせて、
新しい酒造りを進められています。
例えば焼酎の麴の作り方を日本酒に応用するですとか、
逆に日本酒の造り方を焼酎に展開するなど、
それぞれの酒造場の特徴・個性を活かしながら酒造りの多様性を出してゆきます。
日本酒の酒蔵様が海外市場に挑戦される際に思うのですが、
やはり皆様、ご自分の商品を単に市場に「置きに行く」のではなく、
どういうシチュエーションで、どのように楽しんで頂くかまでを踏み込んで提案し、一つのパッケージとしてプロデュースし、ご自身のお酒を認知して頂く、
このプロセスで、工夫を凝らし、知恵を絞って展開されています。
光武酒造場様は、アジアの焼酎、欧米の日本酒で、
やはりこのあたりのプロデュースを特にしっかりされている、というように思いました。
次はどの国で、どのような仕掛けをされてゆかれるのか、
またぜひ続きをききたいと思いました。
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